これみよがし日記

感情の整理箱

一人四面楚歌

空間に広がり行き詰まった不協和音たちがずっと耳に残っている。ブーブーブーという音が鳴り過ぎて、逆に心地よくなってきている。かれこれ5分くらい鳴っている。

久しぶりに忘年会へ行った。結婚式を5倍くらい大きくした忘年会で、スーツでバシッと決めている人やパーティーへ向かうドレスの人、いろんな人がクロークへ荷物を預け、会場へ吸い込まれていく。恐ろしい。こんなに盛大にする?ってくらい忘年会感が一つもない。見当たらない。会場が無駄に広いから、入ってみるとほぼ知らない人が楽しそうにお酒を片手に会話している。どこを見回しても、知っている人がいない空間というのも奇妙なもので、同じ会社にいるという場所だけの共通点しかないから話しかけるにしても繋がりが弱すぎる。そもそも一緒に行った人たちもそんなに知っているわけじゃない。あはは〜どうも〜レベルの会話で10分持たせられるかどうかの人たちで、会場にいても無言になる可能性の方が高い。身内でそんなだから、他の人などどの距離で話したら良いか、そもそも話しかけて良いのかすら怪しい。やってしまった感。とりあえず美味しい匂いのする方向へ歩く。ローストビーフやクリームパスタ、エビチリ、串揚げ、お寿司。前菜。中菜。後菜。(そんなものはない)日本に現存するおいしもの集めました!と言わんばかりの顔ぶれである。日本人だったらずっと居れるわぁ〜。ツボを見事に抑えている。あーあー、ご飯美味しいけど喋る人おらんなぁ。どこにおるねん。ん?そもそもそんなに人と話していないってか?うるさいなぁ、黙っとけ。そうだ。自分は人に伝えるということをここ数年放棄していたんだった。だから同じテンションで話あえる人がいなくなってしまったんだ。自分が何に笑って何に泣いたのか、誰にも教えていなかった。テーブルに置いた料理の数々を横に、スクリーンに流れている社内映像を見ながら食べているローストビーフが柔らか過ぎて泣きそうになる。だからどこの場所に行っても、自分の話ができなくて何をしているかも言えなくて、アピールできなくて溜まりに溜まって吐き出す場所もなく、抱え込んでいるのではないのか。唯一、こうして書くことができているのが救いで、自分できたしこりを丁寧に剥ぎ落としている。どの場所でも同じ自分で居られるようになれたら良いね。自分で勝手に受け入れられないって思って、それで塞ぎこんでいただけなんじゃないかなぁ。もうええわぁって。そんなみんな人に興味ないねん。何がしたいのかちゃんと言えるようになった時、私はまた違う私になれているのだろうか。今大丈夫?挨拶行こうか。その一言で我に返る。とりあえず、ここにあるご飯は全部食べきってから考えよう。ご飯が冷めてしまう前に。