これみよがし日記

感情の整理箱

空気のよめない大人

昨日、応募した寄席が当たったメールがきた。なんとなく応募したので、なんとなくあー当たったんだーへぇーという他人事だったけど、日付を見ると明日の話で、急に現実味を帯びた。前日に当選メール送るなよって思ったけど、暇だし、落語聞きたいし、行くことにした。箕面までだったので、中々良い交通手段がなく、仕方なくチャリで行くことになった。ずっと徒歩生活をしていたから、チャリがちゃんと動いてくれるのか不安もありつつ、出発。前々からよく空気の抜けるチャリで、毎回憂鬱な気持ちになるから避けていた。(近くにも自転車屋ないからね)案の定、空気は抜けてガッタガタ。寄席に向かう前に、借りていたバカリズムのdvdを返しに行かなくてはならず、ガタガタ地獄。昨日返しとけばよかったな。昨日の自分を恨みつつ、寄席に直行した。あまりにも揺れるのでお尻も心配になってきた。微かな記憶を頼りに自転車屋を探すことに。多分、通り道にあったよなぁなんて思いながら、見つける。あたりを見渡すと、なんと外に空気入れが置いてあるじゃないか。自分の自転車をそそくさとセットし、ウッキウキで空気入れる穴に挿した。ワクワクしながら様子を見ていた。しかし、数秒入れても、満タンにならない。タイヤがパンパンにならない。どうやらおかしい。入れる穴を確認すると、自分の持っているチャリは差し込み口が、この空気入れとは違うようだった。どういうことやねん、と思いながら、振り返って注意書きをよく読んで見る。

差し込み口が異なるお客様は店員までお申し付けください。

ははぁ〜ん、なるほどね、そういう人もいるよね、なんて納得しつつ、店内へ向かう。

スイマセーン、空気入れてもらってもいいですか?

優しいそうな店員さんの手に渡り、すぐに入れてもらった。内心助かったと思いつつ、ホッとしていると、帰り際に、

ちゃんとこまめに空気入れるようにしてくださいね。

と釘を刺される。放置していたことの罪悪感が胸に深く突き刺さりながら、寄席に向かった。初めての場所ということで、少しもたつきつつ到着。自転車を止めようとした時、変な音がした。嫌な予感がする。最悪なケースが脳裏によぎる。ゆっくりとタイヤの方を見てみると、タイヤが地面と平行に潰れていた。やっぱりパンクだったか…。私の無駄な祈りはあっけなく散った。いやうそでしょ。さっき入れたはずなのに。うぅ。

とりあえず、公演がもうすぐ始まるからこれは終わってからどうにかしよう…。

重い石を背負いながら、落語を聴くことになるなんて思ってもいなかった。ジメジメしたモヤっとした気持ちと共に開演。それさえも忘れるくらい笑いありの寄席だった。これに関してはまたいつか書きたいな。帰り、駐輪場に戻ると、すっかり忘れていた潰れているチャリがいた。またお尻に刺激がくるなーやだなー。というかなんで後輪は正常なのに、前輪だけパンクしてるんだよ。やたら、前だけガッタガタするチャリが鈍い音を出しながら、元来た道を戻る。変な音が出るチャリのおかげで、皆さんキョロキョロしてた。いや、この自転車からだよ、犯人はこれだよ。そんなこと教えたくはなかったので、そそくさと立ち去る。ボコボコに揺れながら、やっと私のオアシス、自転車屋が見えて来た。これで全てが終わる。そう思って、店内に入る。

スミマセーン、ちょっとタイヤ見てもらってもいいですか?

数分見てもらったところ、タイヤに穴が空いているか、差し込み口が壊れているかのどちらかだと教えてもらった。とりあえず早く直して帰りたいので、今日中に修理してもらうようにお願いした。1日かかるかななんて思ってたけど、当日でできるんだね。30分くらい待っていると、あっという間に呼び出された。

大きい穴ができていたみたいで、取り替えておきました。

ありがとうございます。助かりました。

本当に救われた気がして、もう終わるんだガタガタ、やっと解放される…。

あのー、きっとこれ空気入れずに走っていたからだと思います。ちゃんと空気入れてくださいね。

安堵の気持ちに、また釘を刺された。罪悪感に苛まれながら、ちゃんと入れようと思った。空気。たかが空気。なめてた。

店から出た時、前から吹く風が涼しかった。乗ってもガタガタしないし、ちゃんと進むし、なんせ速い。というか、進み方で空気が入っているかくらい気づかないものなのか?前に進んだか進まないかの具合さえもわからないような人間だから、きっとこうなったんだろうな。普通はすぐに気づいて、空気いれようってなるんだろうな。自分の感覚なんて信用しちゃいけないな、鈍感野郎。大人になっても空気が入ってるかどうかもわからない。それでもやっぱり大人なんだ。天気は快晴。ものすごいスピードで、狭くて細い道を駆け抜けた。